転職先が決まってからの退職が「裏切り・恩知らず」と言われる理由を解説|心無い言葉は無視していい
- 転職して「裏切り者!」って言われている人を見た
- 自分も退職したら裏切りっていわれるのかな
転職先は決まったけれど、上司に退職を言い出すタイミングを悩んではいないでしょうか?
私は12年間勤務した会社を退職しました。今だから思いますが、転職は裏切り行為ではありません。
転職する人に対し「裏切り者!」と言っている人を見たことがあります。当時はあまり気に留めていませんでしたが、退職する立場になったら「自分も裏切り者呼ばわりされないだろうか?」と不安になりました。
会社に迷惑をかけるような退職でなければ、気にする必要は全くありません。次の職場で働くために、早めに退職を切り出しましょう。
- 転職は裏切り行為ではなく法的に全く問題がない
- 裏切りと思うのは信頼関係が強かった証拠
- 前職の顧客を奪うような行為は慎むべき
新卒から12年間働いた金融機関を退職した私が解説します。
裏切りと呼ばれることが怖くて退職に踏み切れない場合は、退職代行も検討しましょう。
もし転職先が決まっていない場合は転職エージェントの活用も考えてみてください。
転職が裏切りと言われる理由3選
「転職したいと伝えたら『会社への裏切りだ!』と言われないかな。」
こんな心配をしていませんか。私はそうでした。実際に転職した人に対して「裏切り者!」と呼ぶ声を聞いたことがあるからです。
しかし、どの職場を選ぶかは本人の自由なのですから、他人が口出しする権利はないはずです。なぜこのようなことを言われるのでしょうか。
「転職=裏切り」と言う人の心理について考えてみました。
理由①|仲間意識が強いから
職場での仲間意識が強い場合、転職を「裏切り」と感じるかもしれません。
一緒に働いてきた期間が長いほど、定年まで勤めるものと思いがちです。一緒に働いてきたメンバーが突然いなくなることに、寂しさを感じる人は多いと思います。
勤続年数が長いほど「信頼を裏切られた」と感じる人も多いでしょう。
私も12年間勤めてきたので、退職時はとても驚かれました。
理由②|終身雇用を当然とする価値観があるから
終身雇用を当然とする価値観が根強い企業の場合、転職を「裏切り」と見なされる風潮が強いかもしれません。
特に日本ではまだ終身雇用が一般的で、一つの会社で長く働くことが美徳とされる風潮にあります。ですから、会社に対する忠誠心がないとみなされるかもしれません。
昭和の気風が残る企業では「転職=裏切り」という考えが強いかもしれません。
理由③|職場の負担が増加するから
転職によって職場の負担が増加することがあります。特に、退職後に業務を引き継げる人がいないと、他の同僚が負担を背負う場合も。残された同僚や上司が「裏切り」と感じるかもしれません。
私の前職も若手を中心に退職者が増加傾向にあったため、退職に対して目に見えない圧力がありました。
退職は法的には全く問題のない行為
退職は法的には全く問題のない行為です。「裏切り」などと言われる筋合いはありません。労働者には職業選択の自由が保障されており、正当な理由があれば退職する権利があります。
退職することは法的には全く問題ありません。
<解雇・退職について>
○ 民法(明治29年法律第89号)(抄)第 627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。引用:厚生労働省HP(外部サイト) 、マーカーは筆者注
法律的には退職は全く問題ありません。
転職して裏切りと言われる状況
伝える側は軽い気持ちかもしれませんが、転職を「裏切り」と言われた側はつらいでしょう。
転職する人も積極的に辞めたいと思っているケースは少ないはず。今後のキャリアや自分自身の価値観などさまざまな観点から、退職に踏み切っている人が大半だと思います。
退職する人の心情を考えれば「裏切り」なんて言葉はかけられないはずです。
もし、みなさんの職場の人が辞めたいと申し出たら、本人の意思を尊重してあげてください。
同僚から言われた
私の前職では、転職した人に対して「うらぎりものー」と非難する人がいました。
今まで一緒に仕事をしてきたのに、何の相談もなく、転職すると知りショックなのかもしれません。突然の転職に「裏切られた」と感じる気持ちもわかります。
ただ、転職する側も深い葛藤があって職場を去るわけです。業務に悪影響を与えないために、あえて口に出さずいます。本当は転職すると伝えたいけれど、安易に伝えられないのです。
転職する側も突然退職を伝えるようなことは避けたいはず。
転職する人のことを「裏切り者」と呼ぶのはやめてあげてください。
別の記事でも書きましたが、私が退職する際は、退職の意向を伝えたのは同じ部署に働く人達だけです。内示が出る前に、退職の事実を話すべきではないと感じたからです。本当はお世話になった人全員に退職の事実を伝えたかったのですが。同じような思いを抱えた退職者は多いと思うので、気持ちを汲み取ってあげてください。
上司・人事部から言われた
「裏切り者」と言う人が同僚なら、まだ気持ちがわかります。「今まで一緒に仕事をしてきたのに、なんで突然辞めるんだ?」という感情は自然かもしれません。
しかし、上司や人事部から「裏切り」と言われたなら話は別です。言葉の重みが違います。上司に転職を相談した際に、会社への裏切りなどと言われた場合は早急に転職すべきでしょう。
相当の時間と費用をかけて、教育してきた社員の転職は会社にとって大きな損失かもしれません。しかし、新人教育は会社にとって投資なのだから損失を被ることはよくあることです。辞める側が「これまで育ててもらったのだから」などと、負い目を感じる必要は全くありません。
転職しても裏切りと言われない方法
「裏切り」と言われて、心が痛むかもしれません。しかし、よくよく考えてみれば誰かのことを裏切ってはいないはず。ただ、次の場合は例外です。
- 前職の顧客を奪う
- 前職の情報を利用する
こうした行為は「裏切り」どころか競業避止義務に違反する可能性もあり、場合によっては前職の会社から損害賠償を請求されかねません。独立・同業他社に転職する場合は、十分気をつけましょう。
方法①|前職の顧客を奪わない
元職場の顧客を奪う行為は絶対にやめましょう。新しい職場では、元職場の顧客との関係を利用する行為は慎みましょう。場合によっては競業避止義務に該当する可能性があります。
- 競業避止義務
- 競業避止義務とは、「在職中の企業と競合に当たる企業・組織への転職」や、「競合する企業の設立」などの競業行為をしてはならないという義務のことです。(※1)
私の前職でも、競合他社の営業に転身して、顧客を引き抜く人がいました。裏切りというか、やることがえげつないです。
方法②|前職の情報を利用しない
競合企業で働く場合、前職の顧客情報や企業秘密を利用するのはやめましょう。企業秘密を利用して、前職の業務を妨害する行為は法令に違反する可能性があります。
法的な判断は難しいですが、顧客リスト、製品開発のノウハウなど「秘密として管理されている生産方法、販売方法、その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」(※2)が違反するようです。
※1 ※2 d’s JOURNAL(外部サイト)を参照
退職に関するよくある質問
退職は申し出ても引き止めされない?
退職を申し出た際に引き止められる可能性はあります。重要な役割を担っている場合や、引き止めできそうだと判断される場合、上司や人事部から引き止めされるかもしれません。
実際に私が退職を引き止められた体験談は次の記事で解説しています。
転職した後は同僚と会えない?
転職した後も同僚と付き合うことは可能です。私も退職してからも仲の良かった同僚とは連絡していますし、お酒を飲みにいくこともあります。
転職して前の職場に戻れる?
転職して前の職場に戻れる可能性は十分あります。最近では再雇用を積極的に行っている会社も多いです。前職への復帰も視野に入れて退職する場合は、引継などの手続きを慎重に進めて円満に退職しましょう。
転職は逃げることになるの?
転職は必ずしも現状から逃げることにつながらないと思います。
私は20代の時にも仕事が上手くいかず、転職を考え、上司に相談したことがあります。その際は「今、転職してもまた同じ壁に当たるんじゃないか。それは逃げじゃないのか?」と問われ、納得して転職を踏みとどまった経験があります。
転職の軸を考えて、逃げにならない転職活動をしましょう。
「年収が上がる」「自己実現できる」など転職の軸を定めておけば、逃げることにはならないはず。
裏切りと言われても転職を留まる必要はなし
「裏切り」と言われたからといって、転職をやめる必要はありません。自分が納得できる選択をしましょう。
「裏切り者」という人は、今まで一緒に過ごした同僚がいなくなることが寂しいのでしょう。
同僚から非難があったとしても、他人に自分の人生を左右されるべきではありません。もし、悩むなら転職が本当に自分にとって良い選択か考え直してみましょう。
自分の価値観に合った選択ならば、誰からも非難される理由はないはずです。まずは自分自身との対話を大切にしてください。
自分が納得する転職なら、前職の人から「裏切り」と言われても気にする必要はありません。
もし、退職の交渉が難しいと感じたなら退職代行サービスを検討しましょう。