信用金庫の人手不足はチャンスなのか深刻な問題なのか?元職員が解説
- 信用金庫はどこも人手不足?
- 人手不足にどう対処すればいい?
労働人口の影響により信用金庫は人手不足の傾向にあります。
私が以前勤務していた信用金庫は人手不足がひどかったです。コロナ禍前で離職率が年10%を超えていました。
なぜ信用金庫は人手不足になっているのか、人手不足の信用金庫で働いている人はどうすればいいのか、信用金庫に12年間勤務した私が解説します。
私は人手不足の信用金庫に見切りを付けて転職することにしました。
人手不足の信用金庫は増加
信金中央金庫の調査によると、人手不足の信用金庫は増加傾向にあるようです。
2020年12月末の信用金庫の常勤役職員数は、前年同月末比1.3%減の10万6,005人となり、117 か月(9年9カ月)連続で前年同月末を下回った。若年人口の減少を主因に今後も役職員数の増加は困難なため、信用金庫は人員増ではなく、一人あたりの生産性を高める努力が不可欠となる。
少し古い調査ですが、現在も人手不足の傾向にあるのではないでしょうか。
人手不足の影響
信用金庫が人手不足となることにより、働く職員にどのような影響があるのでしょうか。
人手不足な分多くの業務をこなさなくてはなりません。残された職員はしんどいです。収益の目標を下げる、年収を上げるなどの恩恵はあまり感じませんでした。
人手不足が与える悪影響は大きいです。
- 業務負担が増える
- 若手の教育が手薄になる
- 店舗統廃合が増える
なによりも「また、ずっと働いていた職員が辞めてしまった」という喪失感がきつかったです。
業務負担が増える
人手不足な分業務負担が増えます。今までは分業していた業務も垣根なく携わらないといけません。
昔より扱う業務が幅広くなっています。
- 女性でも融資業務
- 男性でも窓口業務
などですね。
ただでさえ業務の幅は広がりつつあるのに、業務量も増えます。残業に対する目も厳しいので、短時間で成果を出さなくてはいけません。
若手の教育が手薄になる
信用金庫は研修が手厚いです。
新卒入庫当初1カ月間は同期全員で研修。その後は3年間のジョブローテーションで様々な業務を経験し、最低月に1回は本部で同期で集合研修を受講していました。中小企業で同じレベルの手厚いフォローを受けられる可能性は低いです。
現場に出る際も基本はOJTで年齢の近い先輩職員がサポートしてくれます。入庫初日に「とりあえず営業してきて」みたいなことは、ほぼないでしょう。
ですが、人手不足になると、こうした手厚いフォローが受けられないかもしれません。
店舗統廃合が増える
少人数で店舗運営するのは限界があります。少人数店舗は大型店舗に統合される事例が増えるでしょう。
私の勤めていた信用金庫は少人数店舗で3名で業務をしていました。支店長1名、窓口2名。さすがに3人で運営はセキュリティ上もよろしくありません。
店舗統廃合が増えると、旧店舗の顧客も引き継ぎられるため、統合した大型店舗の業務負担は増えます。
店舗統廃合ならまだしも、自身が勤務する信用金庫が合併される側になれば、出世ルートからは外れることになる可能性が高いです。
人手不足がもたらすチャンス
人手不足はキャリア形成のチャンスにもなり得ます。人員が少ない環境では、若手でも早期に重要な業務を任されることが増えるでしょう。
若手でも裁量ある仕事を任される
人手不足の環境では、若手職員でも責任ある業務を任される可能性が高いです。
本来、役席が担当するような取引先や複雑な事務ができるかもしれません。
幅広い業務を経験できる
人手不足の環境では、特定の業務に専念することが難しく、様々な業務を経験できます。
窓口業務、融資業務、営業活動など幅広い業務に携わることで、総合的なスキルが身につきます。
キャリア形成に役立つでしょう。
人手不足が深刻な理由
信用金庫で人手不足が深刻化している理由はいくつか考えられます。
労働人口の減少という社会的背景に加え、金融業界特有の要因も影響しています。
新卒採用が減少
少子高齢化により労働者の人口は年々減少しつつあります。
一部の信用金庫は人気の就職先ですが、一般的に信用金庫を就職先として選ぶ学生は減少しつつあるようです。
また、地方の信用金庫では都市部への人口流出の影響を受け、採用環境が一層厳しくなっています。
離職率の高さ
信用金庫での離職率の高さも人手不足に拍車をかけています。
私の勤めていた信用金庫では年間10%以上の離職率でしたが、業界内でも珍しくありません。
信用金庫同士の研修で集まった際「いつか辞めよう」が合言葉になっていました。
きついノルマ、低い年収などが退職理由となっているようです。
職員ができる人手不足への対処方法
人手不足の信用金庫で働く職員がキャリアを発展させるための対処法を紹介します。
業務改善の提案をする
自分の業務を見直し、効率化できる部分はないか考えましょう。
繰り返し行う業務の手順書作成や、不要な会議の削減提案などが効果的です。
若手職員の場合、業務改善の提案は評価されやすいです。顧客対応や内部手続きの簡素化など、小さな改善でも大きな効果を生むことがあります。
転職活動する
人手不足で将来性に疑問を感じたなら、転職活動を検討するのも一つの選択肢です。
金融業界での経験は他業種でも評価されることが多く、営業や融資に関する知識は様々な業界で通用します。
転職活動を始める際は、信用金庫で培ったスキルをアピールポイントとして整理しておくことが重要です。
人手不足の信用金庫だからこそチャンスはある
信用金庫の人手不足は、深刻な問題であると同時に、成長のチャンスでもあります。
人員が限られているため、責任ある業務を経験しキャリアアップできる可能性もあります。
- 業務改善を提案する
- 転職エージェントに相談する
将来性に不安を感じるのであれば、早めに転職エージェントやキャリア相談を活用し、自分に合った職場を探すのが賢明でしょう。