日商簿記3級取得後におすすめ資格6選|仕事で生かすために必要な次のステップを解説

- 日商簿記3級に合格した!次はなんの資格を取ればいい?
- 簿記に直接関係しない資格のことも知りたい
「日商簿記3級を取得した。合格に満足せずもっと勉強したい」と感じていませんか?
簿記3級の難易度は決して高くありません。就職・転職などで評価される可能性は低いようです。キャリアアップや就職・転職に活かしたいなら、上級資格の取得を目指すべきでしょう。
ここで、簿記3級の次の資格ならば簿記2級の取得を目指すのが妥当のように感じます。ただ、将来的な視点で次取得する資格を検討したいですよね。
本記事では、簿記3級を取得した人におすすめの次取得すべき資格を解説します。

日商簿記2級取得者の私が解説します。
簿記3級取得後に考えるべきポイント3選
簿記は3級では意味ない?
日商簿記3級は、経理や会計の基本的な知識が身に付く資格で社会人なら必ず学習しておきたい内容。3級の取得でも十分に価値はあります。
ただ、難易度がそれほど高くないため、今後のキャリアアップに役立つ可能性は低いでしょう。

簿記3級の知識は日常生活でも役立ちます。
しかし、世間からの評価はそれほど高くありません。さらにスキルアップする必要があるでしょう。
企業の実務では簿記3級の知識だけでは対応しきれない複雑な業務も少なくありません。ですから、今後の自分が進めるべきキャリアに合わせた資格取得を検討しましょう。
簿記3級取得後に考えるべきポイント
簿記の資格を活かすためには、自分のキャリアプランに沿った選択をすることが重要です。次のようなポイントを検討しましょう。
- 自分の描くキャリアに当てはまっているか
- 知識を深めるか、幅を広げるか
- 難易度や学習時間などの費用対効果は優れているか
以上のポイントを考慮しながら、次取得すべき資格を決めましょう。
自分の描くキャリアに当てはまっているか
今の仕事で必要なスキルについて、5年後、10年後のキャリアを具体的に描きながら必要な資格を見極めましょう。
たとえば以下のような形で。
- 経理職:簿記3級→簿記2級→MOS
- 銀行員:簿記3級→銀行業務検定 財務3級→簿記2級→財務2級
- FP:簿記3級→FP3級→FP2級
上記はあくまで例に過ぎず、勤務先の規模や求める業務内容によって目指すべき資格は異なります。
また、将来転職したいと考えているならば、転職先の業界で求められるニーズも考えるべきでしょう。
基礎から応用へと着実にステップアップできるよう、取得の順序や時期を検討しましょう。無理のないスケジュールを組むことが最短合格へとつながります。
簿記3級の知識を深めるか、幅を広げるか
簿記3級を取得して基礎知識を得たあとは、さらに知識を深めるか、もしくは知識の幅を広げるか検討しましょう。
- 簿記の知識を深めたい→簿記・会計系の資格を目指す
- 簿記の知識を他の資格取得に役立てたい→税務など他の資格を目指す
知識を深める
簿記3級で学んだ基礎知識をさらに深め、より高度な会計の専門知識を習得を目指せます。

簿記はハマる人はとことんハマります。
簿記3級を学習して「楽しい」と感じたなら専門性を磨いてみてはいかがでしょうか。
たとえば、財務分析の専門家として、特定分野でのエキスパートを目指すことができます。
- 公認会計士
- 証券アナリスト
- 監査法人
- FAS
上記のような職種で働きたいと考えている人は、これから簿記の知識を学ぶといいでしょう。
知識の幅を広げる
簿記会計の基礎知識は、ビジネスの多様な分野で活用できます。
- 財務分析では企業の健全性評価や投資判断
- 税務では確定申告や税務戦略の立案
- 経営管理では予算策定やコスト管理
簿記3級の知識では、上記のような業務で活用するのは難しいでしょう。
- 税理士
- FP (ファイナンシャルプランナー)
- 証券アナリスト
- 中小企業診断士
上記の資格は簿記と直接の関連性は低いですが、簿記の知識があることで効率的に学習できます。

簿記3級の勉強がしんどかった。
でも、金融系の勉強は楽しい。と感じた人は関連する分野の資格を取得しましょう。
隣接する分野へと知識の幅を広げることで、よりビジネススキルを身に付けられます。
難易度や学習時間などの費用対効果は優れているか
簿記3級は難易度が低めで短期間の勉強でも合格できると言われます。
これから簿記3級以外の資格を取得しようと考えるなら、難易度、勉強時間がどの程度必要かあらかじめ調べておきましょう。
また、資格取得後にどの程度の収入アップが見込まれるか、キャリアアップができる資格取得になるのか、についてもあらかじめ調べておくことをおすすめします。

勤務先の就業規則を確認しておきましょう。
「簿記2級以上取得者には毎月1万円の資格手当」などの記載があるかもしれません。
また、転職市場での評価もチェックしておきましょう。
転職を検討している業界の求人要項に「歓迎条件:中小企業診断士」などの記載があるかもしれません。
難易度・勉強時間・合格率を調査
独学、通信講座、スクール通学など、自分に合った学習スタイルを見極め、仕事や生活と両立できる現実的な学習計画を立てることが重要です。
金融業界で人気の資格の概要は以下の通り。
資格名 | 種類 | 難易度 | 勉強時間 | 合格率 | 必要な費用 | 業務との関連度 | 特徴 |
証券外務員 | 二種 一種 内部管理責任者 | (1.0 / 5.0) | 40〜60時間 | 60〜70% | 数千円〜数万円 | 金融商品の販売に必須 | 金融機関で働くならほぼ必須 |
保険募集人資格 | 【生命保険】 一般課程 専門課程 応用課程 変額保険販売資格 外貨建保険販売資格 【損害保険】 基礎単位 商品単位 | (0.5 / 5.0) | 10時間以内 | 非公開 | 0円 | 保険商品の販売に必須 | 全て一夜漬けで合格できるレベル |
FP (ファイナンシャルプランナー) | 【国家資格】 3級 2級 1級 【民間資格】 AFP CFP | (1.5 / 5.0) 〜 (4.0 / 5.0) | 3級・・・100時間程度 2級・・・150〜300時間 1級・・・400〜600時間 | 3級・・・70%以上 2級・・・40%〜60% 1級・・・10%程度 (※試験運営団体により異なる) | 数千円〜数万円 | 2級以上なら資格手当が付く場合も | 金融系国家資格で知名度抜群 |
日商簿記 | 3級 2級 1級 | (2.0 / 5.0) 〜 (4.5 / 5.0) | 3級・・・100時間程度 2級・・・100〜200時間 1級・・・500〜1,000時間 | 3級・・・70%以上 2級・・・10%〜30% 1級・・・10%程度 | 数千円〜数万円 | 融資・審査業務に携わるならほぼ必須 | 初学者には学習しづらい分野 |
証券アナリスト(CMA) | ー | (3.5 / 5.0) | 200時間 | 40%〜50%程度 | 10万円以上 | 資産運用部門でキャリアアップを狙える | 合格後証券アナリスト協会に加入できる |
宅地建物取引士 | ー | (4.0 / 5.0) | 400〜600時間 | 15%〜17%程度 | 数万円〜10万円以上 | 住宅ローン・アパートローンなどの融資業務で役立つ | 金融資格ではないが銀行業務などと親和性が高いためランクイン |
中小企業診断士 | ー | (4.0 / 5.0) | 800〜1,000時間 | 4%程度 | 数万円〜10万円以上 | 融資・コンサル業務で役立つ | コンサルに関わる国家資格 |
USCPA (米国公認会計士) | ー | (4.0 / 5.0) | 1,000〜1,500時間 | 40%〜60%程度 | 数十万円〜100万円 | 外資系の会社で役立つ | 日本の公認会計士よりも難易度は低い |
税理士 | ー | (4.5 / 5.0) | 4,000時間 | 10%〜20%程度 | 数十万円〜100万円 | 個別税務相談の独占業務が役立つ | 権威性抜群 |
公認会計士 | ー | (5.0 / 5.0) | 2,500〜3,500時間 | 10%程度 | 数十万円〜100万円 | 監査法人やコンサル業界で活躍できる | 独立や転職も視野に入る |
上記の難易度、合格率、勉強時間はあくまで目安。
受験時期や受験回数なども含めた詳細なスケジュールを組み立てましょう。
簿記3級取得後におすすめの資格5選
簿記3級取得後におすすめの資格を紹介します。
日商簿記|上位資格にチャレンジ
種類 | 3級 2級 1級 |
難易度 | (2.0 / 5.0) 〜 (4.5 / 5.0) |
勉強時間 | 3級・・・100時間程度 2級・・・100〜200時間 1級・・・500〜1,000時間 |
合格率 | 3級・・・70%以上 2級・・・10%〜30% 1級・・・10%程度 |
資格を取得するメリット | 財務分析に必要な知識が身に付く |
簿記に抵抗感がなければ2級の取得がおすすめ
簿記3級を学習して「簿記って難しいなぁ」と感じなかった人は、2級の取得がおすすめ。簿記の学習は積み重ねが重要。3級を取得した直後なら2級の勉強は難しくないでしょう。2級を取得すれば、就職・転職などでも一定の評価を得られます。工業簿記という新しい分野も登場するため、勉強時間は3級の2倍程度必要との声も。ちなみに1級は難易度が相当アップするため、税理士を目指すなど専門家になりたい人以外はあえて取得する必要はないでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)|金融の国家資格
種類 | 【国家資格】 3級 2級 1級 【民間資格】 AFP CFP |
難易度 | (1.5 / 5.0) 〜 (4.0 / 5.0) |
勉強時間 | 3級・・・100時間程度 2級・・・150〜300時間 1級・・・400〜600時間 |
合格率 | 3級・・・70%以上 2級・・・40%〜60% 1級・・・10%程度 (※試験運営団体により異なる) |
資格を取得するメリット | 知名度抜群 |
金融の国家資格
FPは家計管理や資産運用などに関する知識が得られる資格です。FPは暗記が中心の科目。簿記との関連性は低いですが、金融に関する知識が幅広く学習できるため、銀行などの金融機関で働く人におすすめの資格です。
中小企業診断士|財務分析が得意なコンサルタントを目指す
難易度 | (4.0 / 5.0) |
勉強時間 | 800〜1,000時間 |
合格率 | 4%程度 |
資格を取得するメリット | コンサルタント唯一の国家資格 |
コンサルタントの国家資格
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格です。試験は一次試験と二次試験に分かれ、合格後に講習も必要。一次試験では7つの分野から出題され「財務会計」の分野があります。財務会計の分野は簿記の知識が必須です。また、実際に中小企業診断士になった際も簿記の知識が生かせます。
税理士|税務のスペシャリストを目指す
難易度 | (4.5 / 5.0) |
勉強時間 | 4,000時間 |
合格率 | 10%〜20%程度 |
資格を取得するメリット | 具体的な税務相談の助言が可能 |
税理士
税理士は、個別税務相談に乗れる業務独占の国家資格。試験科目は、簿記論、財務諸表論の必須2科目と税法科目の全11科目から選択して合計5科目を受験します。簿記3級の知識を土台に、税務の専門知識を習得できます。ただし、難易度が高いので長期的な計画が必要です。
公認会計士|最難関資格の一つ
難易度 | (5.0 / 5.0) |
勉強時間 | 2,500〜3,500時間 |
合格率 | 10%程度 |
資格を取得するメリット | 監査の独占業務、税理士にも登録可能に |
公認会計士
公認会計士資格は監査業務に関する業務独占のある国家試験です。試験は短答式試験(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法)と論文式試験(会計学、監査論、企業法、租税法、他選択科目)で構成されています。簿記3級が初級だとしたら、公認会計士は最難関の資格。長期的な計画で学習する必要があるでしょう。
IT系資格(MOS、Excelスキル向上)|経理職としてのスキルを高める
経理や会計の現場ではITスキルの重要性が増しています。
簿記3級で学んだ知識をさらに活用するために、MOS(Microsoft Office Specialist)やExcelの高度なスキルを身につけることを検討しましょう。
資格以外に考えるべきスキルアップ方法
実務経験を積む
日々の業務で簿記の知識を実践的に活用し、実際のビジネスシーンでの応用力を養うことが重要です。特に、経理部門での実務経験は、理論と実践の橋渡しとなります。
ビジネスコミュニケーションスキルの向上
数字やデータを効果的に説明し、他部署と円滑に連携するためのコミュニケーション能力は、経理・財務職において不可欠なスキルです
英語やデータ分析などのスキルを学ぶ
グローバル化やデジタル化が進む中、英語力やデータ分析スキルは、経理・財務分野でのキャリアの可能性を大きく広げる武器となります
まとめ
簿記3級取得後は、次に目指すべき資格やスキルを慎重に選ぶことが大切です。
この記事で紹介した資格を参考に、自分の目標や興味に合った道を選びましょう。簿記3級は単なる通過点ではなく、大きなキャリアの可能性を開く第一歩です。