信用金庫と銀行の違いを解説|地域の中小企業に密着しているのはどっち?金融業でも仕事内容が違う

- 信用金庫と銀行はどっちで働くのがおすすめ?
- 就職したいけど違いがわからなくて困る
信用金庫と銀行のビジネスモデルはよく似ています。ただ、これから働こうとしている人にとって両者の違いは明確にしておきたいところ。

信用金庫も銀行も同じじゃない?
信用金庫の方が身近なイメージがあるけど。
採用面接の場で信用金庫と銀行の違いが明確にわかっていないと「事前によく調べられていないな」と、判断されてしまう可能性があります。
信用金庫は銀行と比較して、以下のような特徴があります。
- 営業エリアが限られている
- 利益ではなく相互扶助を目的とする
- 中小零細企業を相手に融資する

本記事は信用金庫に12年間勤務した私が解説します。
信用金庫と銀行の違い
信用金庫と銀行は事業内容が似ています。
- 企業・個人からお金を預かる
- 資金を必要とする人にお金を貸す
- 振込など資金決済の業務を行う

いわゆる預金・融資・為替業務を行い、金融(お金を融通する)役割を担っています。
他に預かり資産(保険や投資信託の商品)の取扱い、企業への経営支援なども行うなど業務の範囲が広がりつつあります。
銀行と信用金庫の違いは以下の通りです。
- エリア
- 規模
- 働き方
- 扱う商品
- 顧客層
順番に解説していきます。
ちなみに全国信用金庫のHPには、下記のように記載されています。
区分 | 信用金庫 | 信用組合 | 銀行 |
---|---|---|---|
根拠法 | 信用金庫法 | 中小企業等協同組合法・協同組合金融事業法(協金法) | 銀行法 |
設立目的 | 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する | 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る | 国民経済の健全な発展に資する |
組織 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 株式会社組織の営利法人 |
会員資格(事業者) | 地区内に住所または居所を有する者、地区内に事業所を有する者、地区内において勤労に従事する者、地区内に事業所を有する者の役員、地区内に転居することが確実と見込まれる者。事業者の場合は従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者 | 地区内に住所または居所を有する者、地区内において事業を行う小規模の事業者、地区内において勤労に従事する者、地区内において事業を行う小規模の事業者の役員。事業者の場合は従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(業種により基準が異なる) | なし(誰でも利用可能) |
業務範囲 | 会員・非会員ともに預金可能 | 預金は原則として組合員を対象とするが、総預金額の20%まで員外預金が認められる。融資は原則として組合員を対象とするが、制限つきで組合員でないものに貸出ができる | 制限なし |

ちょっとむずいな。
上記内容も踏まえて、わかりやすく解説していきますね。
参照:個人事業主おすすめ資金繰り支援5選!融資からファクタリングまで解説|ファクログマガジン
①エリアが違う|信用金庫はエリアが限られている
信用金庫と銀行は営業エリアが異なります。

横浜銀行とかの地方銀行って信用金庫とエリアが被ってないの?

信用金庫と銀行は一部で重複するエリアもありますが、異なる部分も多いです。
ざっくり説明すると信用金庫は狭い取引、銀行は広い取引です。
信用金庫は日本の一部の地域が営業エリア。対して、銀行は都心部や海外に拠点を持つ場合もあります。
たとえば、国内最大規模の横浜銀行は横浜市以外に名古屋や大阪に支店があります。また、ニューヨークやシンガポールなどの海外にも拠点があるのが特徴です。
(参照:横浜銀行HP (外部サイト))
ですが、信用金庫の場合は営業エリアが限られています。隣県など営業エリア外の顧客と取引する場合もありますが、基本は本店が所在する一部の地域のみが対象です。
営業地域は一定の地域に限定されており、お預かりした資金はその地域の発展に生かされている点も銀行と大きく異なります。
上記のように対象エリアを限定し地域経済の発展に寄与するという点が、銀行との大きな違いです。

採用面接の場では「金融を通して地域の発展に貢献したい」と、アピールできるといいですね。
②規模が違う|銀行が大規模・信用金庫が小規模
信用金庫と銀行を比較すると、銀行の方が規模が大きいです。

規模って具体的に何を基準にしているの?

ここでは総資産を指します。
総資産は、貸出金(融資)や有価証券、固定資産などの総量ですね。
国内最大級の規模の京都中央信用金庫は地方銀行よりも規模は大きいですが、一部の例外を除き基本的に信用金庫の方が小規模です。
ですから、営業や融資で規模の大きい案件に携わりたいなら銀行で働くことをおすすめします。
③働き方が違う|信用金庫の方がノルマが緩やかで年収低い傾向

信用金庫の方がノルマ緩い気がするよ。
信用金庫の方が銀行ほどノルマが多くありません。ですが、年収も低いです。
私の体感ですが、銀行よりも信用金庫の方が営業ノルマは厳しくありません。販売する商品や内容はほぼ同じですが、銀行の方が残業時間も長いなどハードな労働環境です。
ただ、採用面接の場で「ノルマが厳しくなさそうだから、銀行ではなく信用金庫にしました。」と、答えるのはNGです。

採用面接の場では「ノルマ」という言葉自体口にすべきでは無いでしょう。話題にするメリットがありません。
④取扱う商品が違う|銀行の方が優れている

銀行も信用金庫も取扱う商品は同じだよね?

少し異なります。
銀行の方が金利が優遇されていて、取扱う商品も多いです。
保険商品や投資信託の商品はラインナップが異なり、信用金庫の方が取扱商品は少ない傾向にあります。他に融資商品も金利などは銀行に劣ることが多いです。

商品はやっぱり銀行の方が有利か。
信用金庫の方が有利な商品ってないの?

商品で言うと、キャンペーン時の定期預金の金利が大手の銀行よりも高い場合があります。
商品以外では、信用金庫の方が接客サービスが優れています。
信用金庫の方がエリア内の店舗やATM、職員の数が多いので、高齢層向けにきめ細かいサービスを行います。
⑤顧客層が違う|信用金庫の方が高齢者・中小企業が多い

お客さんは一緒だよね?

信用金庫の方が高齢者の顧客が多いです。
法人では中小企業が圧倒的に多いですね。
信用金庫は地域に根ざした金融機関のため、長く取引のある高齢者が多いです。若年者が口座開設のために窓口に来店することはほとんどありません。
法人では、地域の中小企業の経営者や経理担当への応対するケースが多く、大企業との取引はほとんどありません。信用金庫は大企業に対して融資できないルールがあるため、大企業との取引が少ないからです。
一方、銀行の方が事業規模の大きい企業も顧客にしているため、事務量が多く煩雑な取引が多いです。

なんか銀行の方が大変そう。

信用金庫も高齢者の対応や相続・紛失手続き、零細企業の融資対応など大変なんですけどね。
信用金庫・銀行で働くメリット・デメリット

信用金庫と銀行の違いはわかったけど、働く上でのメリット・デメリットを教えてよ。
今まで信用金庫と銀行の違いについて解説してきました。
では、実際に働いている人にとって、どのような違いがあるのでしょうか。
信用金庫で働くと、以下のようなメリットがあります。
- 生まれ育った地域で働ける
- 既存顧客の関係性が深い
- アットホームな職場が多い
反面、銀行よりも年収は低く、努力しても出世するスピードはあまり変わりません。
実力主義で「若いうちに支店長になりたい」という人は銀行が向いているでしょう。
信用金庫で働くメリット・デメリット
銀行で働くメリット・デメリット
信用金庫と銀行で悩んだなら信用金庫がおすすめ
信用金庫と銀行、どちらが就職先として良いか悩んでいる方には、私の経験から信用金庫をおすすめします。
地域密着型で顧客との関係性を大切にできる環境があり、ワークライフバランスも比較的取りやすいからです。
地元で長く安定して働きたい方には信用金庫が向いているでしょう。